歯周病治療

歯周病とは、お口の中の歯周病菌によって歯を支える歯茎や歯槽骨が破壊されていく病気です。 ブラッシングが不十分になりやすい歯と歯茎の境目(歯肉溝)などに歯周病菌が繁殖し、歯肉の辺縁に炎症を引き起こします。初期の段階ではほとんど痛みを感じることはありませんが、それ故に気付かないうちに歯肉溝(歯周ポケット)はどんどん深まり、歯を支える土台(歯槽骨)を溶かして歯がグラついてきます。 そして、最終的には抜歯が必要となるケースもあります。

歯周病の進行段階

一般的に、歯周病は次の段階をたどって進行します。

健康な状態

歯周病の進行段階 健康な状態歯と歯茎のすき間(ポケット)もなく、歯茎が引き締まっている。

軽度歯周病

歯周病の進行段階 軽度歯周病歯茎が赤く腫れあがり、歯を磨いたり固いものを食べると出血することもある。

中度歯周病

歯周病の進行段階 中度歯周病ポケットの炎症が慢性化して、骨が溶けはじめる。口臭もあり、歯が浮いたような感じがする。

重度歯周病

歯周病の進行段階 重度歯周病歯根を支えている骨がほとんど溶けてしまう。歯根が露出し歯のグラつきがひどくなる。

当院では薬で歯周病を治療する『歯周内科治療』をご用意しています

当院では、顕微鏡を使ってお口のなかに存在する歯周病原菌の種類を特定し、薬によって症状を改善する「歯周内科治療」をご用意しています。

従来の歯周病治療は、治療期間が長引くうえに「歯茎をメスで切る」「悪い部分を取り除く手術を行う」といった過酷な治療も必要となり、患者様へ大きな身体的・精神的負担を余儀なくされていました。

しかし、歯周病を引き起こす原因となっている歯周病菌に対して有効な薬剤を用いれば、悪さを働く菌を除菌することで身体に負担をかけることなく歯周病を改善することができるのです。

CT検査

歯周病は顎の骨を溶かしていく病気です。CT検査をすることで、骨の減り具合が明確に分かるため、どのくらい歯周病が進行しているのかを確認することができます。

唾液検査(細菌検査)

唾液検査で、お口の中の細菌の状態を確認します。これは、より精度の高い治療計画を作成するための材料になります。また治療後に再チェックすることで、再検証の材料にもなります。

歯周病を進行させる悪玉菌の種類

歯周病の進行を進める悪玉菌には、次のようなものがあります。

1. カビ菌(カンジダ菌)

カビ菌はお口の中に必ず住みついている菌ですが、大量に繁殖すると歯肉に腫れを引き起こします。また、カビ菌は歯周病原菌を繁殖させる原因にもなるため、カビ菌の数を減らすことで歯周病原菌も減らすことができると考えられています。

2. スピロヘータ(歯周病原菌)

歯周病原菌は蛇のようにウネウネと動き、歯肉の中で毒素を出しながら増殖する毒性の強い細菌です。このスピロヘータの数によって治療方針が分かれます。

3. 運動性桿菌(かんきん)

口腔常在菌の一種で、ウインナーが飛び回っているように動くのが特徴です。歯肉の中で毒素を出しながら増殖し、口臭を引き起こす原因にもなります。お口の中が汚れている場合は、砂嵐のように多量に見られます。

4. 原虫

歯肉アメーバや口腔トリコモナス(べん毛虫類)などの単細胞の原性動物。重度の歯周病にかかった患者様に多く見られます。

顕微鏡検査 ~歯周病菌の種類を特定します~

当院では、お口の中の歯垢(プラーク)を取り去ったのち、顕微鏡を使ってお口の中の細菌の状況を確認する『顕微鏡検査』を実施しています。
この検査により、菌の種類をはじめ、菌の数や大きさ、活発性などを把握することができ、適切な薬剤の処方に繋げます。

顕微鏡治療の流れ

当院では、お口の中の細菌の状況に応じた歯周病の治療を行っています。

ステップ1. 顕微鏡検査を行います

お口の中に歯周病の病原菌やカビ菌が存在するかどうかを確認します。

ステップ2. 歯周検査を行い、口内の写真を撮影します

歯と歯茎の溝(ポケット)の深さを測り、治療前のお口の中の状態を写真で記録します。

ステップ3. 歯周病菌やカビ菌を除菌します

必要に応じて、抗生物質の内服と、カビ取り歯磨剤での歯磨きを行います。

ステップ4. 歯の表面の歯石を取り除き、歯磨き指導を行います

歯肉の上にある歯石を取り除きます。

ステップ5. もう一度、顕微鏡検査と歯周検査を行います

歯周病治療が順調に進んでいるかどうかを確認します。

ステップ6. 歯周ポケットの中の歯石を取り除きます

歯肉の下にある歯石を取り除く歯茎の大掃除を行います。
※それでも歯周病の改善が見られない場合は、外科的手術が必要となります。

これらの過程のあとは、定期検診にて歯周病の再発を防止します。